3人家族のためのアトリエ併設住宅である。プランは、910モジュールを基本とした6,460mm×5,460mmの平面の真ん中に階段を置き、その片側に壁を設け部屋を分節する、という至極単純なものになっている。だが、ただそれだけでは退屈なものになるため、その平面を1階と2階でくるりと反転し、同じ2つの平面が上下にひねりをもって現れる構成とした。テクスチャーは、建売住宅で一般的に使われている物の使い方と扱い方を少し変えている。外壁は下見板調のサイディングは耐力壁を黄色、非耐力壁をグレーに張り分けし、正面左のコーナーだけ飛び出させる。屋根はFRP防水をパラペットの外側まで包む。窓は枠だけ隠れるようにガラスのサイズに合わせて内壁に穴を開ける。床のタイルカーペットは壁に反り上げる形で納める。仕上げに美術作家である施主がこれらのさまざまなきっかけを読み取り、色を入れていく。 こうした判断はすべて建売住宅の凡例の内側にある。そこに迷いや意図はない。だからあらゆる成り立ちに意味が付着しないある種の健やかさをもった家となっている。可笑しなものが心地よく氾濫し、おまけに周りを少しだけ元気づかせる、そんな「明るい」家である。
An atelier-cum-home built for the contemporary artist Keisuke Yamamoto of Tomio Koyama Gallery. The floor plans of the first floor and the second floor were merely reversed to achieve a simple composition. The bare space born out of such the layout became the canvas on which the owner painted artwork; he colored the walls and ceilings and furnished the furniture; and Yamamoto’s “happy house” was completed.