ムトカ建築事務所で建築デザイン、N2LANDSCAPEでランドスケープデザインを担当しました中村藤吉平等院店が京都宇治に昨年オープンしました。宇治の重要文化的景観建物である築150年の元旅館建築をフルリノベーションして、これまでの中村藤吉とは異なるセルフサービス形式のカフェに刷新しています。現行法規では建築不可能な宇治川の河川敷に位置し、驚くほどの近さで宇治川を感じることができる空間で美味しいお茶やスイーツを頂けます。お近くにお越しの際はぜひお立ち寄りください。

所在地:京都府宇治市宇治蓮華5-1

営業日時:10:00-17:00 不定休

Photo: Yasuhiro Nakayama

小規模水循環型システムの研究・開発を行なっているスタートアップ企業であるWOTAのラボ・オフィスである。既存建築は、築70年の元三和銀行馬喰町支店であった厳格なファサードをもった近代建築で、外観とは裏腹に内部は増改築を繰り返した状態であった。その空間に、誰もが読み込め共有できる手法(=ランゲージ)を入れ込み、受け継いでいけるコンテクストに書き換え、動的で完成しない時間を組み込んだ線としての建築の再構築を行なった。15のランゲージは、[1_ファサードの保存][2_エントランスの表裏変換][3_構造補強][4_断熱補強][5_再生材料][6_マテリアルシフト][7_建材の素地使用][8_多用途なファブリック][9_名建築からのスポリア][10_サインとなる防水塗装][11_光を届ける穴][12_呼応する光環境][13_小規模分散型水循環システム][14_漸進的な計画][15_災害避難施設への転換]である。これらのランゲージは、不安定な世の中において、この価値ある建築を確かな存在へと導くものである。さらに、建築設計の延長としてドキュメントとなるブックレットを出版し、後世に引き継ぐための状況の設計も行なっている。

It is the laboratory office of WOTA, a start-up company engaged in the research and development of Small-scale decentralized water reuse system. The existing building was a 70-year-old former Bakurocho branch of Sanwa Bank, a modern building with a strict facade.
The 15 languages are: [1.Facade preservation] [2.Front / back conversion of entrances] [3.Structural reinforcement] [4.Thermal insulation reinforcement] [5.Recycled material] [6.Reusing material] [7.Use of base material] [8.Multi-functional fabric] [9.Spolia from famous architecture] [10.Waterproof paint as a sign] [11.Holes to deliver light] [12.Responsive lighting environment] [13.Small-scale decentralized water reuse system] [14.Gradual planning] [15.Conversion to an evacuation facility]
These languages will bring this valuable architecture to a solid existence in an unstable world. In addition, we are designing a situation to be passed on to future generations by publishing a booklet that will serve as documentation as an extension of the architectural design.

WOTA office project

WOTA office project

Date : 2021.11
Type : Laboratory, Office
Location : Chuo-ku, Tokyo
Floor : 1635.24㎡
Collaborator : Izumi Okayasu Lighting Design, Studio Onder de Linde, Chiba Associates, Atsuki Kikuchi Ltd, Masayuki Makino
Contractor : Ishimaru Co.,Ltd., Shoken Enterprise Co.,Ltd.
Photo : Yasuhiro Nakayama, Masafumi Tsuji
Press : 新建築2022年3月号

『家と庭と代』がTOTO通信2022年春号に掲載されました。増築がテーマになっており、4者それぞれのアプローチが際立った特集になっています。

『WOTA office project』が新建築3月号に掲載されました。築70年の元銀行の改修の痕跡を残しながら複数の新たなランゲージを加え、更新可能な状態をつくることを試みました。

『F.I.L. FUKUOKA』がGA JAPAN 175号に掲載されました。GA初のインテリア特集です。

住宅のリノベーションである。敷地は大仏坂の切通しに近く、鎌倉特有の谷戸地形に位置する。はじめに地盤沈下し建物が歪んでいた南側をごっそり減築し、暗かった北側に光を届けた。それでもまだ面積超過していたため、東西の下屋部分を取り除き、擁壁や隣地との隙間を大きくして敷地全体に風の通り道をつくった。残った北側建物は軸組をジャッキアップして基礎を一部つくり直し、柱梁は適宜入れ替え、構造の健全化を図った。最後に古くなった設備機器を更新し、建主の希望である白い内外装の改装を行った。こうして高齢の夫婦が残りの人生を住まうのに十分な機能をもった小さな住宅ができたわけだが、問題はここからである。現行の法規上では永遠にリノベーションされ続けることでしかあり続けることができないこの住宅は、再びリノベーションされる時がくる。増改築を繰り返した既存の住宅は、都度必要なパーツを追加、更新した無機的で閉じた状態であり、それを踏襲していてはこれまで通りの延命治療的修繕で終わってしまう。そうではなく、今回のリノベーションによって有機的で動的な建築のあり方に刷新し、古びた住宅が建ち並ぶ周辺もひっくるめて、風景をごっそり変えてしまうような大胆な手立てを行う必要があるように思えた。そこで、北側で完結した住宅をひとつの「家」と捉え、減築で空いた南側にテラスとなる「庭」をリビングの床レベルとほぼ同じ高さに設けた。そして「家」と「庭」とを繋ぐ線を西側に引き膨らませた半月型の「代」を新しい建築として加えてみた。「代」は確認申請不要の10m2以下の増築で、屋根を矩勾配でカットすることで平面と断面に同じ曲率のカタチが現れ、平面は最大でも幅1.2mしかなく、特定の機能を持たない。そんな「代」を「家」と「庭」を繋ぐ新たな補助線として添えてみると、円弧のフレームはするりと滑らかに双方を繋ぎながら滞りのない流れをつくり出し、窓から外さらには周辺にまで続いていく開かれた建築に一変した。各要素の関係性を揺るがす補助線としての「代」を添えることにより、この住宅は動的な建築に生まれ変わり、寂れた隣家、カビで黒ずんだ擁壁など、すべての風景を肯定できる環境となった。そしてこの「代」によるフレーミングは、周辺関係をも含めた未来のリノベーションに多彩なランゲージを提供するはずだ。明るい建築としてこの場所にあり続け、次の居住者や設計者に良いバトンを渡すことができたとしたら本望である。

The renovation project of a non-reconstructable house. In order to keep the excess building-to-land ratio within the legal limit, the south side of the house, where the ground had subsided, was reduced, the east and west sheds were removed, and the remaining north side building was structurally sounded. Then, we added a half-moon shaped “margin” that expands the line connecting the “house”  on the north side and the “garden” on the south side. The “margin” is an extension of less than 10㎡ that does not require a confirmation application, has only 1.2m wide at maximum, and does not have a specific function. While connecting both sides of the building, it has been transformed into a dynamic architecture that continues from the windows to the outside and to the surroundings, creating an environment that affirms all sceneries.

家と庭と代 / House or Garden and Margin

Date : 2021.4
Type : House
Location : Kamakura, Kanagawa
Floor : 75.50㎡
Consultant : Ryotaro Sakata Structual Engineers, Studio Onder de Linde
Contractor : Kobotto House, Furuya Garden
Photo : Yasuhiro Nakayama
Press : 新建築住宅特集 2021年11月号

JR宇治駅前にある観光案内所のリノベーション。フルオープンにできる木製建具や内外に連続する天井ルーバーによって、駅前広場や駅のプラットホームなどの周辺のランドスケープとの連続性を持たせ、まちに開かれた観光案内所とした。インテリアは、家具を奥行き方向に並行に配置することで、内部空間を3層に分け、観光客の滞留空間を分散させるとともに、中宇治地域のもつ「『奥・ゆかしい』まち」の質を体現している。

Renovation of a tourist information center in front of JR Uji Station. The wooden doors that can be fully opened and the continuous ceiling louvers inside and outside create a continuity with the surrounding landscape such as the station square and the station platform, making the tourist information center open to the town. By arranging the furniture in parallel in the depth direction, the interior space is divided into three layers to decentralize the space for tourists to stay.

宇治市観光案内所 / Uji Tourist Information Center

Date : 2021.9
Type : Tourist Information Center
Location : Uji, Kyoto
Floor : 88.66㎡
Collaborator : UDCU, Nara Women’s Univ.
Contractor : Iwasaki Construction Company
Photo : Yosuke Ohtake

ムトカ建築事務所では、一緒に建築をつくり、考えていく、設計スタッフを募集します。応募される方は、下記宛にポートフォリオと履歴書をお送りください。後日、メールにてこちらからご連絡いたします。2022年3月修了・卒業予定の方もOKです!

村山徹+加藤亜矢子

応募書類送付先
222-0011 横浜市港北区菊名2-18-24-302
ムトカ建築事務所 宛

問い合わせ先 info@mtka.jp

締め切り 2021年12月末日

※お送りいただいたポートフォリオは原則返却いたしません。返却を希望する場合は、返信用の封筒を同封してください。

スタッフ募集

Date : 2021.11.8

『家と庭と代』が新建築住宅特集11月号に掲載されました。築50年の住宅を減築と増築により刷新する試みです。

『天井の楕円』がLIXIL eye No.24 「住宅クロスレビュー|12 住み継ぐ」に掲載されました。八木佐千子さんの「早宮の家」と「住み継ぐ」をテーマにインタビューさせていただきました。